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一言映画評~『戦場のピアニスト』など

〔前の記事同様、『ヨーロッパ退屈日記』風に書きます〕

たまに青春映画を見たくなる

数ヵ月に一度くらい、猛烈に青春映画を見たくなることがあります。
こういうときは洋画より邦画のものを見たほうが落ち着きますな。
しかし『ウォ―ターボーイズ』なんかはややうるさすぎます。『桐島部活やめるってよ』はたしかにこういうときにピッタリの映画ですが、もう少し軽い映画でもいいような気がします。
いろいろ考えた挙句、『鴨川ホルモー』に落ち着きました。これは決して頭の良い映画ではありませんが、軽い作品で笑いどころも多く、物語の舞台となる京都の雰囲気などはなかなかよろしい。
わたくしが思うに、こういう笑えて、爽やかで、頭空っぽにして見ることができ、見た後に若返ったような気持ちがし、クオリティが低くない映画というのは、なかなか少ないものではないでしょうか。

良い映画

オレンジ・ジュースをシャンパンで割って、軽くステアしただけのカクテルを飲みながら、良い映画とはなにか、ということを考えてしまうのです。

わたくしとしては、まず映像美(というのも嫌な言葉だが)を第一にあげたい。
『ラスト・エンペラー』ほどのクオリティは求めませんが、それなりに圧倒的なものを見せてもらいたい。観客たちはラーメン一杯を我慢して節約したお金で映画を観に来ているのです。

第二に、物語の筋が通っているか(つまり、話の流れが急すぎたり、登場人物がデタラメなことを言っていないか、意味の通らない行動をしていないか、ということです)を重視します。ここが出来ていればわたしはそこそこ満足です。

あとは俳優の演技、音楽なども・・・・・・

・・・・・・

こんなことを言っていたらキリがありませんでした。
映画をはかる物差しは人それぞれ、無数のパターンがあってよろしいと思うのであります。




ところで、最近みた映画についてコメントしたいと思います。

戦場のピアニスト

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75点。なかなかの作品でした。見て損はないレベルです。登場人物の生と死の運命が次々に転換する映画なので、とても悲しい内容なので、見るのには体力が必要です。

プライベートライアン

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90点。何も言うことはありません。究極の戦争映画です。冒頭の上陸作戦のシーンから最高です。ほかに好きなのは、建物の壁が崩れて、中にいたドイツの将校とアメリカ兵が鉢合わせするシーンと、子どもを預かるシーン。こんなおもしろいシーンをよく考え付いたなという感じです。
持論ですが、〔笑いのない戦争映画はゴミクズ〕だと思います。
戦争の悲惨さや混沌を、悲しいシーンだけで描き通そうとするのは不可能です。なぜなら、戦争は人間が行うものである以上、滑稽なことが起こらないはずがないからです。
笑いを抜いてしまうと一気にリアリティを失い、クソ戦争映画になってしまうの
です。
プライベートライアン』はその「笑い」のバランスが良く、だからこそ、彼らがいかに過酷でくるった場所で戦っているのか、ということが観客に伝わるわけです。

グランド・ブタペスト・ホテル

75点。おしゃれなだけでつまらない映画だろうな、どうせほとんどのシーンがホテルの室内で完結するようなスケールの小さい退屈な映画だろうなと思っていたわたしは大馬鹿者だったようです。
この映画は笑いあり、サスペンスあり、アクションありで、しかも独特の雰囲気を持った傑作でした。

アルゴ

70点。CIA職員がアメリカ政府のケツを拭くだけの映画です。それ以上でも以下でもありません。退屈せずに見ることができるレベルではありますな。

愛と青春の旅立ち

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60点。アメリカの士官学校を舞台にしたお話です。たいした映画ではないのに、ネットではやたら評価が高いのはなぜでしょうか。

青天の霹靂

青天の霹靂

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50点。平凡です。劇団ひとりが演じる役は悲しい男の役なんですが、彼がなにをやっても劇団ひとりがネタをやっているようにしか見えず、キャラクターに感情移入できません。あと、オチが汚いし、陳腐でした。あれで人を感動させようとしているなら、劇団ひとり氏には映画監督という仕事は向いてないと思いました。
こういう映画を見るたびに、芸人で映画を作る才能があるのはビートたけしだろうなと思ってしまいます。

赤ひげ

赤ひげ [Blu-ray]

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80点。もう、職人技というか、天才的な物語の構成というか、黒澤明を楽しめるヒューマニズムにあふれた映画です。主人公のひねくれたプライドの高い若い医者が、三船敏郎演じるツンデレの「赤ひげ」先生のもとで世の中をお勉強してゆく、ようは若い医者のインターンのお話です。赤ひげ先生が医者のくせにゴロツキをボコボコにするシーンが笑えます。

椿三十郎

椿三十郎 [Blu-ray]

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80点。最後の決闘シーンで有名な映画です。やたら頭の回転の速いおっさんの武士(三船敏郎)と若い武士たちが知恵を駆使して、悪事を働く藩の重役たちをやっつける話で爽快です。
この映画のすごいところは、「ずば抜けて有能な人間はどうあるべきか」を、おっさんと敵方の室戸という、2人の有能な武士の生きざまを通じて描いたところだと思います。





ここまで書いていて思ったのですが、黒澤映画の、特に『用心棒』『椿三十郎』『隠し砦の三悪人』『悪い奴ほどよく眠る』あたりの三船敏郎が演じるキャラクターがとてつもなくカッコいいのであります。

頭が良くて正義感があってユーモアがあって見た目が男らしくて腕っぷしも強い。映画を見ているうちに自然と信頼してしまうというか、応援してしまうというか。

こういうキャラクター、最近の映画やドラマなどからは消え去ってしまいましたね。平成にはいってからの時代モノの映画なんか、クールな主人公ばかりで、がんばってくれ!という気持ちにはなれません。

われわれは椿三十郎を失ってしまったのでしょうか。