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戦後文学探検隊 番外編 「風宴」 梅崎春生 +今後の方針など

戦後文学探検隊

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昔の小説なんか読んでるとよく出てくる、大学に行かねえで、下宿先に引きこもって、本と酒だけで生活しているような、退廃的な学生ってのは、憧れるよな。時代とか世間を遠ざけて、独特の時間を生きているようで。

 

優雅さとは違うんだよ。ゆとりがあるようで、ない。生きるとか死ぬとか、人生とか、社会とかを必死で考えるんだけど、結局、酒とか小説とかで、ぼんやり1日を費やしてしまう。

 

そういうことをしてたら、たぶん、のっぺりした人間にはならないんだよな。

俺の知り合いに何人か、こういう、退廃的学生的人間がいるけど、なんというか、みんな、面白いほど、顔や目に、影がある。だけど、暗いヤツってわけじゃない。人間性の、重いものと軽いものを、両方とも持っている。

 

そういうのが、本当の意味で、リアルが充実している人間と、言えるんじゃないかと、思うけどね。

 

俺もやりたかった。1年ぐらい大学を休学して、アパートなんかに引きこもって、いろんなものを読み、酒をあおり、めんどくさいことを考える。

 

今の時代、そんなことしたら、就活の時ケチつけられるのかもしれないけどね。グローバル化の時代だから、休学したのになんで留学してないんだって、くだらねぇことを、言われることもあるかもしれない。まぁそもそも、そういうことをする学生は、真面目に就活をしないだろうから、なに言われようが、おかまいなしか。

 

実にいいなぁ。

 

 

戦後文学探検隊、番外編

梅崎春生「風宴」(青空文庫)を読んだ。

 

(なんで番外編かっていうと、これ、梅崎が学生時代に書いた処女作で、戦前の作品だから)

 

シンプルな作品だったけど、なるほど、これは確かに梅崎だなというような、文中に漂う雰囲気の魅力があった。

 

 

「本郷の大学」の学生である主人公「私」は、古ぼけた下宿である「泥竜館」に住む知人で、「帝大を出た癖に毎日ぶらぶら遊んで」いて、「雑学の大家で、つまらないことを沢山知って」いる、「天願氏」のもとを訪れる。そのとき丁度、危篤状態の、宿の管理人の娘が、天願氏の隣の部屋で臨終を迎えようとしていた。

管理人の娘の死という出来事や、忌中の「泥竜館」での出来事を通して、この二人の人間関係を軸に物語は進んでいく。

 

 

あらすじはそんなかんじ。

以下、読んで思ったこと。

  • 風の表現

「風宴」というタイトルのとおり、作中には風がどうのこうのといった表現が随所に効果的に用いられていて、それが主人公「私」の抱える孤独を際立たせるとともに、風はまた、生き方が定まらず、感情がたえず揺れ動く「私」を象徴するものであるような気もする。

  • 「私」と天願

主人公の「私」は、天願が

「此の人が学校に出ないのは、自然にそうなったからさ。そんな風の性格に骨の髄から出来ているんだ。どうせここまで落ち込んで来るような種類の人間なんだ」

と言うような、タイプの学生。

 

帝大を出た癖にぶらぶらしている天願

帝大の学生なのに学校に行かずぶらぶらしている「私」

 

似ているタイプだけど、天願の方が年を食っているぶん、いちいち上から目線をかましてきて、「私」はそういう彼に反感と軽蔑とを抱きつつ、やっぱりどこかで、特別な感情を持っている。

「私」は不安定な人間で、身の回りの何にも満足してないひねくれ者なんだけど、身近に天願という、自分と似たような生活をしているのに、下宿先の人々に尊敬され、彼自身がマイペースで、なんか楽しそうに生きているOBがいる。そういう存在を見て、ひたすら葛藤する「私」の姿。

 

自分の生き方を摸索していて、でも、なかなかうまくいかない人は、共感すると思う。

 

だれも本当は、堕落した生き方などしたくないんだよね。

真面目に勉強したり、努力したりして、成果をだしたりして、他人に認められたい。

 

だけど、どうも、「これだな」というものが掴めない。

 

若ければ若いほど、特に、大学生みたいに中途半端な余裕があるほうが、悪しきウロボロスというか、延々と考えを巡らせて、答えになかなかたどり着けないなんじゃないかと思う。身近に、なかなか上手く人生を運んでいる(ように見えるだけなのかもしれないけど)親戚とか友達がいると、なおさら、自分は人生で、どういう風に勝負すべきだろうかと、考えてしまう。

考え込んでしまうと、それだけ行動を起こすエネルギーが減って、常に不安になり、あとは堕落しかない。

 

この物語の主人公「私」も、そういうところにいたのだと思う。

そう思うと、物語中、「私」がいきなり泣きだすシーンがあるんだけど、ここでの「私」の感情が、しっかり伝わってくる。

 

 

 

この小説は繰り返し読んだほうが面白いかもしれないし、泣けるかもしれない。

もう一回読むわ。

 

 

おしまい

 

方針について

戦後文学探検隊についてなんだけどさ。

これから改めて心がけようとおもっていることがあって、それは、

・作品を読んだことがない人でも、理解できるように書く

ってこと。

ストレス発散に書いているものだから、あんまり他者を意識して書いていないんだけど、ここに書いたことがきっかけになって、青空文庫とか図書館とかアマゾンで、入手して読んでくれる人がいたら、それはそれで、いいなと思う。

 

これからについて

できるだけ青空文庫で読める短めの作品を扱おうと思ってたんだよね、スマホで読めるし。

でもさあ、やっぱり、それだと作品がだいぶ限られてしまう。梅崎春生の作品ばっかりになってしまうから、どうも面白くない。

今、手元に、

 

太陽の季節 (新潮文庫)

太陽の季節 (新潮文庫)

 

 

 

俘虜記 (新潮文庫)

俘虜記 (新潮文庫)

 

 

 

真空地帯 (新潮文庫 の 1-2)

真空地帯 (新潮文庫 の 1-2)

 

 

 

神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫)

神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫)

 

 

なんかがある。

これからはとりあえず、これらをやろうかなと思う。『神聖喜劇』は光文社の3巻まで読んだけど、それきりなので、まだまだ先になるかもしれない。これがまたなげぇ作品なんだよな。クソ面白いんだけどね。

現在、取り組まなければならないことや、勉強しなければならないことが多く、小説を読むのは平日で1時間ぐらいしかないけど、『俘虜記』ぐらいのボリュームのものなら、1か月で無理なく消費できる。もともとストレス発散のために書いているので、今後は、基本的に1か月に1冊ペースでやっていくのが、いいと思う。それ以上のペースだと、逆にストレスになりそうで本末転倒だから、そうしようと思う。

 

突発的になんか書くのもあるかもしれないけどね。